遺言
遺言(ゆいごん、いごん)とは、自分が死亡した後の法律関係を単独で決めるための意思表示です。
親族間で相続を巡る争いが起きることを未然に防止するために、遺言者自らが自分の財産の帰属を決めておくことに主な目的があります。なお、非嫡出子を認知するなど、法律で定められた身分上の事項も定めることができます。
遺言の種類
遺言は、必ず民法の定める方式に従って行う必要があります。
遺言の方式には、普通方式と特別方式があります。
普通方式の遺言としては①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言があります。
特別方式の遺言は、死亡が危急に迫っている場合や一般社会と隔絶した場所にあるため、普通方式による遺言ができない場合に限り認められるものです。
自筆証書遺言とは
遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに押印することによって成立します。ただし、財産目録については、パソコンなどで作成してもよいですし、不動産の登記事項証明書や預貯金の通帳の写しを添付することもできます。この場合は、各ページに署名押印をする必要があります(両面の場合は、両面に必要)。証人は要りません。
公正証書遺言とは
証人二名以上の立会いの上で、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がその遺言者が口述した内容を筆記して遺言者と証人に読み聞かせます。遺言者と証人が筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名、押印し、公証人が適式な手続に従って作成されたものである旨を付記して証書に署名、押印して作成します。
秘密証書遺言とは
遺言者がその証書に署名押印し、その証書を封じ、証書に用いた印章で封印します。その上で、遺言者が公証人1人及び証人2人以上の面前で封書を提出して、それが自己の遺言書である旨並びに氏名及び住所を申述し、公証人がその証書の提出された日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともに署名押印することにより作成します。
遺言の効力
満15歳以上であれば、誰でも遺言をすることができます。ただし、自分が行なう遺言の内容を理解する能力(遺言能力)がない場合には、遺言をできません。そのような者が行なった遺言は、たとえ、公正証書遺言であっても無効となります。
また、法律の定める方式に従っていない遺言や、本人が作成していない遺言は無効となります。
遺言が無効であるかどうかは、家庭裁判所ではなく、地方裁判所における民事訴訟で争われることになります。争われる内容としては、主に、本人の筆跡かどうか、遺言能力があったかどうか、遺言の趣旨が不明確な場合の文言の解釈などです。
詳しくは、遺言無効へ
遺言の執行
遺言の執行とは、遺言者が死亡して遺言が効力を生じた後に、遺言の内容を実現するために必要な処理をすることをいいます。
遺言を執行するために、遺言者は、遺言の中で、遺言執行者を指定することができます。遺言で指定する際には、遺言執行者の了解を得る必要はありませんが、その代わり、遺言執行者として指定された者は、遺言が効力を生じた後、就任を断ることができます。
遺言の中に遺言執行者の指定がない場合や、遺言執行者が就任しない場合には、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立を行い、遺言執行者を決めてもらうことになります。
遺言を執行する場合には、必ず遺言執行者が必要になるわけではありません。遺言の内容によっては、相続人だけで執行できますので、弁護士にご相談ください。
遺言に関する費用
遺言の作成
定型
10万円~20万円(消費税別)
非定型
経済的利益の額が
300万円以下 20万円
300万円を超えて3000万円以下 経済的利益の1%+17万円
3000万円を超えて3億円以下 経済的利益の0.3&+38万円
3億円を超える場合 経済的利益の0.1%+98万円
(いずれも消費税別)
但し、特に複雑な内容の場合は別途協議となります。
遺言執行
遺言の内容によりますので、ご相談ください
遺言の効力を争う場合
争いとなる経済的利益により算定します。
弁護士費用の中の「一般の民事事件・家事事件」をご覧ください。