成年後見

 高齢のためや、知的障害や精神障害があるために、自分の財産を管理できない方(本人)に代わって財産を管理する方法のうち、家庭裁判所が管理者を選任する場合は、本人の判断能力に応じて、次の3つがあります。

後見とは

 後見の対象者は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」(民法7条)です。
 これは、自己の財産を管理・処分できない程度に判断能力が欠けている者であり、植物人間のような場合だけでなく、日常的な挨拶や会話はできても、日常的に必要な買い物をすることも自分では判断できない場合も含まれます。
 
 後見が開始されると 後見人が選任されます。後見人は、本人の行為全般について、本人を代理することができ、本人がした行為を取り消すことができます。

保佐とは

 保佐の対象者は「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」(民法11条)です。
 これは、判断能力が著しく不十分で、自己の財産を管理・処分するには,常に援助が必要な程度の者です。日常的に必要な買い物程度は自分の判断でできるものの、不動産や自動車の売買、自宅の増改築や金銭の貸し借り等重要な財産行為は自分ではできないという場合です。

 保佐が開始されると、保佐人が選任され、本人が行う重要な財産行為については、保佐人の同意を要することとされ、本人又は保佐人は、本人が保佐人の同意を得ないで行った重要な財産行為を取り消すことができます 。また、必要があれば、家庭裁判所は、保佐人に本人を代理する権限を与えることができます。

補助とは

 補助の対象者は「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者」(民法15条1項)です。
 これは、判断能力が不十分で、自己の財産を管理・処分するには援助が必要な場合があるという程度の者です。重要な財産行為は、自分でできるかもしれないが、本人の利益のためには誰かに代わってやってもらった方がよい程度の者をいいます。

 補助が開始されると、補助人が選任され、補助人に本人を代理する権限や、本人が取引等をするについて同意をする権限が与えられます。代理権や同意権の範囲・内容は,家庭裁判所が個々の事案において必要性を判断した上で決定します。
 補助人に同意権が与えられた場合には、本人又は補助人は、本人が補助人の同意を得ないでした行為を取り消すことができます。
補助を開始するに当たっては,本人の申立て又は同意が必要とされています。


成年後見に関する費用

  • 申立費用
    手数料として20万円(消費税別)。ただし、財産が多い場合や事情が複雑な場合は、20万円以上となることがあります。
  • 後見人等の報酬
    弁護士等の専門家が後見人等となる場合は、後見人等の報告に基づいて家庭裁判所が後払いの報酬を決めます。東京家庭裁判所の場合、1年毎に決めることが多いと言われています。
    報酬の目安については、ここをクリック

弁護士青木信昭の実績

 以下は、2013年4月1日現在のものです。この他に、終了したものも多数あります。

  1. 成年後見
    (1)80歳代女性。都内の有料老人ホーム入所
    (2)80歳代女性。都内の介護療養型病院に入院
    (3)80歳代女性。都外の介護療養型病院に入院
    (4)40歳代男性。都外の精神病院に入院。親族も療養看護を担当する成年後見人に選任されているので、財産管理のみ担当。
  2. 保佐人
    (1)80歳代女性。有料老人ホームに入所。親族との共同保佐人。
  3. 補助人
    (1)30歳代のろうあの男性。
  4. 成年後見監督人
    (1)90歳代の男性。都内の有料老人ホーム入所。成年後見人は子。
    (2)100歳代の女性。都内の有料老人ホームに入所。成年後見人は子。